徒然weed

アウトプットの場

ルベーグ空間が完備であることを証明してみよう

f:id:shintaro-football7:20200719090055j:plain

久しぶりの投稿になってしまいました。

今回はルベーグ空間L^p(関数空間の一種)が完備であることを証明してみます。

参考にしているのは学部時代の授業と以下の本です。

関数解析 共立数学講座 (15)

関数解析 共立数学講座 (15)

  • 作者:黒田 成俊
  • 発売日: 1980/11/01
  • メディア: 単行本
 

ER^d上の可測集合としてE上のp乗可積分複素関数全体の作る関数空間をここではルベーグ空間L^pとします。(ただし、1\leq p < \infty)

この関数空間の完備性を示したいわけです。

 

今回取り上げるのは以下の通りです。

まず、バナッハ空間とヒルベルト空間を定義し、数列空間を例にノルムを使った数列の収束に慣れます。

そのあと、数列空間から関数空間に拡張します。

次に、ルベーグ空間の完備性の証明のためのいくつかの準備をして、最後に証明をしてみます。

 

今回も見苦しい手書きが多いですが、あしからず。

 

1. Banach space & Hilbert space

Banach空間とHilbert空間を定義しましょう。端的に言うとそれぞれ「完備なノルム空間」と「完備な内積空間」です。

完備であるとはコーシー列が収束列であるということです。注意しなければいけないのは例えば一次元上での数列の収束性は絶対値で評価できますが、「数列が数列に収束していく」という話になるとその限りではなく、ノルム||・||を用いて「数列同士の距離」を定義して評価しなければなりません。

収束列とは数列\{x_i\}_{i=0,1,2,...}に収束先 lim_{n\rightarrow\infty}x_i が存在する数列のことです。

 それではBanach空間とHilbert空間の定義を見てみましょう。

f:id:shintaro-football7:20200719095832j:plain

それではバナッハ空間である数列空間の例を一つ見ておきましょう。

複素数列 u = (u_k)_{k=1,2,3,...}=(u_1, u_2,...)\sum_{k=1,2,...}^{\infty}|u_k| <\inftyを満たす数列全体が作る空間をl^1とします。

l^1||u|| = \sum_{k=1,2,3...}^{\infty}|u_k|をノルムとしてBanach空間であることを示しましょう。

l^1の線形演算を以下のように定義します。

  1.  u+v = \{u_1+v_1, u_2+v_2,...\}
  2. \alpha u =\{ \alpha u_1, \alpha u_2, ...\} 

 そうすると、u, v \in l^1ならば任意のNに対して

\sum_{k=1}^{N} |u_k+v_k| \leq \sum_{k=1}^{N}|u_k| + \sum_{k=1}^{N}|v_k|\leq ||u||+||v|| < \infty

なのでu+v\in l^1であり、u \in l^1 ならば \alpha u \in l^1となり線形演算に対してl^1が閉じています。線形空間の公理・ノルム空間の公理が成立することは容易に確かめられるのであとはl^1が完備であることを示します。

 l^1が完備であるということは l^1のコーシー列に収束先が存在し、それがまた l^1に存在することを示さなければいけません。方針としてはコーシー列をなす \{u^{(n)}\}_{n=1,2,...} (一個一個の数列  u^{(n)} = \{u_1^{(n)}, u_2^{(n)},...\}は l^1に属す)のある数列 u^{(n)}の k番目の成分がある数列 uの k番目に収束することをまず示します。その uがまた l^1に属し、なおかつu が  n\rightarrow \inftyでコーシー列\{u^{(n)}\}_{n=1,2,...}の収束先になっていればよいです。

それでは示しましょう。途中、複素数 \mathbb{C}の完備性を用いています。

f:id:shintaro-football7:20200719123821j:plain

 

 

 

 

2. function space(関数空間)

 それでは扱う対象を数列から関数に広げ、同様の議論ができることを少し見てみましょう。(以下の定理を見て関数空間に慣れるだけですが。)

【定理】

K\subset\mathbb{R}^d有界閉集合として、K上の連続関数f K \rightarrow \mathbb{R}全体をC(K)で表します。f \in C(K)に対して

||f||_{\infty} := max_{x \in K}\ |f(x)|

と定義すると、 (C(K), ||・||_{\infty})はBanach空間です。

 

完備性の証明だけします。

f:id:shintaro-football7:20200719162524p:plain

 

 

 

 

 

3. 優収束定理と単調収束定理ともう一つ

ここでは後で使う二つの定理を紹介します。それぞれ証明は追いません。

E\subset\mathbb{R}^kを可測集合、f : \mathbb{E}\rightarrow [- \infty, \infty]を可測関数とします。また、L-可積分とはルベーグ積分の値が有限ということです。

優収束定理

 ①\{f_n\}がE上可測関数(n=1,2,...)

 ②f_n\rightarrow f \ a.e

 ③|f_n(x)| \leq g(x) a.e. g は L-可積分

となるgが存在するならば、fはL-可積分で、

       lim_{n\rightarrow \infty} \int_E f_n(x) dx = \int_E f(x) dx

単調収束定理

0 \leq f_1 \leq f_2 \leq ... \rightarrow f \ \ (n \rightarrow \infty) \ \ \  a.e.

ならば、

       lim_{n\rightarrow \infty} \int_E f_n(x) dx = \int_E f(x) dx

(両方とも+\inftyの場合も含める。)

 

定理(名無し)

fが可積分 \Rightarrow |f|\infty a.e

 

 

 

4. 諸々のLemma

ルベーグ空間の完備性の証明に使う定理を簡単な証明や直観的な図を交えて紹介します。その前にルベーグ空間の定義を述べます。

定義  (Lebesgue空間)

1\leq p <  \infty に対し、

L^p(E) := \{f: E\rightarrow \mathbb{R} \ | \ Eは可測集合、fはp乗可積分(つまり、\int_E |f|^p d\mu)\}

とする。そして, f \in L^p(E)に対して次のp-ノルムを定義します。

||f||_p := (\int_E |f|^p d\mu)^{1/p}

 とすると(L^p(E), ||・||^p)はBanach空間です。

 

 

Youngの不等式、Hölderの不等式、Minkowskiの不等式

f:id:shintaro-football7:20200724001730j:plain

f:id:shintaro-football7:20200724001736j:plain

 

 

5. ルベーグ空間(L^p空間の完備性)

それでは最後にルベーグ空間の完備性を示しましょう。

定義から再度再掲。

定義  (Lebesgue空間)

1\leq p <  \infty に対し、

L^p(E) := \{f: E\rightarrow \mathbb{R} \ | \ Eは可測集合、fはp乗可積分(つまり、\int_E |f|^p d\mu)\}

とする。そして, f \in L^p(E)に対して次のp-ノルムを定義します。

||f||_p := (\int_E |f|^p d\mu)^{1/p}

 とすると(L^p(E), ||・||^p)はBanach空間です。

 

方針

証明(L^p(E)の完備性のみ示す)の方針としてはL^p(E)のコーシー列が収束列であることを示すわけですが、以下の2stepに分けます。

[step1]

コーシー列\{f_n\}_{n=1,2,...}のある部分列\{f_n(k)\}_{k=1,2,...}fに収束して、それがL^p(E)に含まれることを示す。

[step2]

そのfが実は\{f_n\}_{n=1,2..}L^p(E)内での収束先であることを示す。

 

証明

(step1)

f:id:shintaro-football7:20200724231009j:plain

f:id:shintaro-football7:20200724231016j:plain

 

 (step2)

f:id:shintaro-football7:20200724233454j:plain

 (おしまい)

 

 

 

本日のおまけ

シンプルにすげえ。

youtu.be

 

 ツイッターアカウントもよろしければぜひ~↓↓